「東洋的音楽感」

modmasa2005-02-02

John Cageの「In a Landscape」 かなり端正な音源のアルバムだけに深夜にこっそり聞く感じの曲だが、プリペアドピアノが初めて使われたアルバムのようだ。
(プリペアドピアノとは、ピアノの弦の間にネジやボルトを挟ませることによって、ピアノとは思えない鈍い音をださせるという手法で、それをケージはこのCDに収録されている「バッカスの祭」という曲ではじめて使われた。まるでガムラン風の精妙な打楽器アンサンブルの響きをこたらす。そして〈プリペアド・ピアノ〉の音は、楽器や準備する人の耳によって、その響きを異なる印象のものへと変えてしまう宿命を持っていました。ここから徐々に、作曲者の意図が完全にコントロールできない音楽への接近が始まっていきます。)

何故このような方法を使ったかと言うと、舞台音楽の依頼でアフリカチックな音を作ろうと試みた時にピアノで弾く表現の限界を感じたというかもっと可能性があるんじゃないか、ピアノで打楽器のようなアフリカチックな音が出したい!!!と思って開発を進めたのが由来のようだ。
骨を叩いているような不思議なピアノの音がこのアルバムで聞ける。分かって聞くとまたいろいろ音の世界が広がってくる。このころ自分の表現の音楽と聴衆の受ける音楽とのズレによってノイローゼだった。インドから西洋音楽を勉強しに来ていた女性留学生から東洋的音楽感、音楽の目的とは「心を静めて穏やかにさせ、神の力を感じやすくさせること」を聞き、ケージはこの言葉に非常に強く心を打たれ徐々に東洋思想の表現へと変わっていった。

そんな課程での作品であり非常に興味深い音楽。ただ逆にこのような事を知ってしまって聞いてしまうのも作家の意図とは逆な行為であったりしてしまう。作品を見る、聞く上でまずはその作品自体を感じた上でコンセプト、タイトル、作家の意図を受け入れまた作品と向かい合う、そんな作品との関係が作品を楽しむこつなのかもしれない。
この作品には幼子が弾く9音しかない小さなピアノで作った「Suite For Toy Piano」や彼が尊敬していたアーティストのデュシャンのための音楽「Music For Marcel Duchamp」などもある。
実験音楽の世界を堪能あれ!
視聴
John Cage, el cerrajero | Soy conocido por mi profesionalismo
http://homepage3.nifty.com/musicircus/cage/

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