「過去への感謝」

modmasa2005-09-04

Renzo Piano設計のJean-Marie Tjibaou Cultural Center(1991, Noumea - New Caledonia)
映画the Time Machineに出てきた80万年先の未来の谷間の都市の原型と思われる建築。
10棟の大きさの異なる「カーズ(住居小屋)」にカナク文化を称えるための様々な機能を盛り込んだ構成の文化センター。
小道に樹木が茂り、野外の公共スペース、海と連続した関係性を持つ全体で一つの村落の様な施設。
観光目的の村落ではなく、カナク文明を称えるシンボルである文化センターに命を吹き込む方法として、、敷地は島の地形を読んで文化センターの存在をはっきり刻みつける事の出来る場所をテリトリーとの関係性の中で探し決定された。
また土地固有の文化から、人々の生活と建築を強く結びつけるダイナミックなエレメントを探し出し、それは木製の平縁とアーチ枠というカナクの「カーズ(小屋)」に似た曲線の形態をしている。
カーズの外装の壁板は、居たの幅、間隔を変え同一を避け、軽やかに揺れる様を視覚的効果として演出し、風に揺れる樹林との相似性を生み出している。
Renzo Piano本人曰く
「我々西洋の世界のモデルを基礎にした提案は、ヌメアでは機能しなかっただろう。表向きだけ現地品に似せた、西洋建築の標準品を提供するわけにはいかない、そんなものは椰子の葉で覆った装甲車という結果にしかならない。「普遍性」というコンセプトの誤った解釈に基づいて、コンテクストの圏外で誕生した歴史や進化から形成された我々の精神的規範を適用させなかった。もしそうしていれば、我々はきっと大きな過ちを犯していただろう。今一度、建築における真の普遍性とは、ルーツとの関連、過去への感謝、「ゲニウス・ロキ(地霊)」への尊敬といったことを通じてのみ実現されるんのだと確認したい。」
と言うようにその土地にある素材、風土、地形、またニューカレドニアのシンボルになっている円柱形の松、伝統的なカナク族の村落、そして海からのモンスーンのそれぞれの要素からこの建築は生まれている。
ニューカレドニアの気候の特徴を活用した、非常に優れた通風受容システムもルーツとの関連、過去への感謝、「ゲニウス・ロキ(地霊)」と現代テクノロジーが生み出したこの建物の特徴だ。
ADCK - Centre Culturel Tjibaou, Nouvelle-Calédonie
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 10棟の大きさの異なる「カーズ(住居小屋)」
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 配置模型
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 カーズのデティール。メンテナンスが楽な事と、現地の住宅に使用される樹木の繊維を編んだ素材を想起させる理由により熱帯性の巨木イロークーを使っている。
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 非常に優れた通風受容システム