「歴史ある建材復権」

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「石州瓦」
島根県の石見地方(=石州)で生産されている粘土瓦のこと。三州瓦、淡路瓦と並ぶ日本三大瓦の一つ。
現在は江津市大田市を中心に浜田市益田市などでも生産が行なわれている。強度に優れ、年間2億枚が生産されて釉薬瓦では全国シェアの20%程を占めているが、良質な原土の減少などが問題となっている。
最近その打開策としてウラジオストクに輸出するという。何故輸出かと調べてみると石州瓦の塩害、凍害に対する耐久力にある。歴史ある建材にはまだまだ見直さないといけない部分が多々あるようだ。

グラントワ
耐久性に優れた伝統的な石州瓦を技術的に洗練することで、屋根のみならず外壁にも採用することを可能にしました。石見地方の古い町並み特有の赤い色が、建物を周囲の環境に溶け込ませます。
美術館、大ホール、小ホールなどの建物群が街のような雰囲気をつくり出すように計画されています。
水盤のある大きな広場を取り囲むように回廊が置かれ、回廊を介してその外側の建物が緩やかに繋がることによって、それぞれが独自に活動できる配置になっています。
設計 内藤廣建築設計事務所
建設地  島根県益田市有明町

『100年瓦』石州瓦
使い捨ての時代は終わりました。これからの社会は、リサイクルに代表される循環型社会です。物性の品質劣化の極めて低い石州瓦は『100年瓦』という異名を持っています。台風被害や外部からの影響による破損がなければ、最低100年の耐久力があります。数十年後の建て替え時においても十分再利用可能です。現に、国宝級の神社仏閣には100年を遙かに越えた瓦が葺かれています。

瓦の断熱性で省エネ
省エネ生活とは、家庭内で消費する様々なエネルギーの直接的な節約を実行すること。塵も積もれば…それは莫大なエネルギーの節約です。瓦は、夏の暑さ、冬の寒さを家に伝えない性質を持っています。高気密・高断熱の住宅ではその断熱性との相乗効果で冷暖房費を節約でき、省エネに大きく貢献します。

環境のために
自然素材から創り出される瓦は、アスベストホルムアルデヒドなどの有害物質を含みません。また、屋根は音に対して敏感です。薄い屋根材は雨・ひょう・あられの音を増大させ、近隣や家の中に響かせてしまいます。瓦はその堅さと重量で、音を響かせません。

超高温焼成で衝撃や酸性雨から住まいをガード
屋根材の性能を簡単に知るには、焼成温度を知るに限ります。たとえば、ファインセラミックス焼成温度は約2,000℃以上、外装用タイル1,250℃ 以上、素焼き陶器は1,000℃くらい。この温度差がそのまま、強さの違いとなって表れます。

石州瓦の焼成温度は1,200℃以上
粘土は高温で焼成するほど強固なものへと変化しますが、ただ単に高温で焼成すればよいというものではありません。土には「耐火温度」というものがあります。ある程度の温度に達する付近(1,000℃程度)で粘土は溶け出す性質を持っているのです。石州瓦が1,200℃もの高温焼成に耐えることができるのは、焼成技術以前に、素材原料土の基礎性能の高さのおかげでず。900〜1,000℃を越えたあたりからの50℃、100℃の違いは、そのまま曲げ破壊強度・耐酸性・耐アルカリ性といった数値で表れてくるのです。JIS規格では、屋根材の破壊強度は1,500N以上と定められていますが、石州瓦は2,644N以上の強さを誇り、その堅牢性には定評があります。

超高温焼成で色褪せ・色ムラが起きにくい
また、焼成温度は瓦の色にも大きく影響します。新しい時はともかく、古くなれば、釉薬瓦でも変色や色ムラが少なからず起きてきます。石州瓦は色褪せ・色ムラが起こりにくい性能を持ち、長年信頼を得ています。

耐塩害性能
海岸部河川近くの住まいは塩分を伴う風雨を十分考慮する必要があります。車や自転車といった金属製品は元々塩分をはじめとする酸性に弱く、その劣化スピードが目に見えて分かるため人々の意識が届きやすいものです。しかし屋根材も同様に、長い時間をかけ内部まで浸透して劣化してしまいます。屋根は頻繁に取り替えるものではありません。最初の屋根材選定が家の寿命を大きく左右するのです。

耐凍害性能
厳しい寒さの地方では、凍害とい被害に出くわします。
その原因は、成分組織の隙間に入り込む水分が凍結し膨張する事。この現象は冬に起こる季節的なもので、シーズンを過ぎれば忘れられる事が多いものです。 細かな事と侮るなかれ、10年〜15年後に大きな差となって現れる恐れがあります。

石州流自然共生の提案【屋根の学校】 石州瓦工業組合
http://www.iwami-kawara.jp/index.html
http://www.sekisyu-morisaki.co.jp/index.html
島根県芸術文化センター グラントワ