「Heinz Tesar 01」

Heinz Tesar ハインツ・テーザー
欧米では既に「建築の詩人」として広く知られるオーストリア、ウィーンを拠点に活動する建築家。
テーザーの建築は空間の新たなレイヤーとして、都市の伝統と文化の層の上に重ねられ、そして将来、別の新たなレイヤーによって重ねられることを想定している。
大きな模型によって室内へ流れる光を考察し、スケッチによるイメージを徐々にまとめている様子、言葉によってイメージづけてゆくなど一連の設計プロセスが展覧会で感じれた。
「最初は描かない、言葉から建物を組み立てる、場所を感じコンテクストの中で考える」のだという。
Keltenmuseum Halleinの新旧のファサードのダブルススキンに落ちる光、BTV Stadtforum Innsbruckの吹き抜け空間に落ちる光、Evangelische Kirche Klosterneuburg のトップライトが印象的だ。

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Keltenmuseum Hallein / Schichtwand von innen,1994

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BTV Stadtforum Innsbruck / BTV Halle,2006

ステートメント抜粋
Winfried Nerdinger / ウィンフリート ネルディンガー
ミュンヘン工科大学建築史教授兼付属建築博物館館長)
「ハインツ・テーザーにとって、建築とは化石化した社会的、あるいは、個人的プロセスであり、複雑な発展過程における「層(Layers)」である。従って、建築家の仕事とは「歴史という進行中の重層過程への参加」である。すなわち、全く新しいものを創造するのではなく、過去の人々、そして今後の世代からも期待されるように、既存のものとインタラクションを取り、「堆積」させることである。」
「ハインツ・テーザーは現代の偉大な建築家の中の詩人、そしてアーティストである。」


Friedrich Achleitner / フリードリヒ アハライトナー
(作家、建築評論家、ウィーン応用美術大学建築史・理論担当教授)
「ハインツ・テーザーを、普段使われる建築のカテゴリーで分類することはできない。その仕事は個性的であり、独創的でもある。伝統派にとっても、モダニズム派にとっても不快な気持ちを起こさせ、挑発する存在である。」


Hartmut Frank / ハルトムート フランク
(建築家、建築史研究家、ハンブルク美術大学 建設環境分析学教授)
「アーティストならではの頑固で、その時代と密接に結びつきながら、最新の流行や短期的な紋切り型と関係なく、迷わずに後期機能主義とポストモダニズムの間に自分を定義する人である。」


Kazunari Sakamoto / 坂本一成東京工業大学教授)
「ハインツ・テーザーの建築には、静謐な空間のなかに、詩的ハーモニーに貫かれた美学が形成されている。それはテーザーの建築が、古典以来受け継がれてきたヨーロッパ建築の歴史や文化に準拠したオーセンティックな作品だからである。現代の、特に日本の建築の趨勢がフォルマリズムという恣意的な形態や形式に重きを置いているなか、テーザーの建築作品の展覧会が東京で開催されることは、日本の現代建築だけでなく広く日本文化を担う人々に対して大きな刺激を与えるものと確信する。」