「カーボン西陣織」

カーボン西陣
カーボンファイバーを西陣織の技法で織り上げた布。カーボンファイバーは「炭素繊維」と訳される、微細な黒鉛結晶構造をもつ繊維状の炭素物質。重さは鉄の 4分の1ながら、強度は10倍。さらに耐熱性、導電性といった特徴がある。そのためにテニスラケット、釣り竿、F1カーや飛行機の内装等に利用されている。この炭素繊維西陣織の技法で織り上げ、渋く黒光りする見た目を生かした着物として、京都市に本社のある西陣織メーカー・フクオカ機業が商品化している。群馬高専教授の小島昭は、このカーボンファイバーを原料とした西陣織の布地を、湖や川の環境維持のために用いることを提唱している。炭素繊維を湖などに沈めると、炭素を好む細菌やバクテリアの働きで汚れを吸着するのだが、流れが速い川や海では繊維がちぎれてしまう欠点があった。西陣織のようにきめの細かい織物にすると強度が出るので、安定的に利用できる。炭素繊維の織物をいかだにつるして埼玉県川口市の河川に沈めたところ、川底のヘドロや悪臭が減ったという。