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吉田修一「パークライフ」
芥川賞受賞作品で装丁が日比谷公園の装丁でもあり平済みの本屋でかなり気になっていた。ある特定の場所(ここでは公園)という都市にある特殊空間で繰り広げられる物語をどう書いているかすごく気になったので読むことにした。 ある一定の空間を取り上げて書いているのだが、その場所の閉塞感というよりかは都市の日比谷公園の何気ない日常を現代のトーンで書いているように感じた。ときおり出てくる駒沢公園(文中ではk公園)が出てくるのだが自分の身近の環境が、しかも同時代の舞台として描かれてることもあり面白かった。物語性と同時代性が自分の中で相互に干渉しあい読み進められた。また舞台の中心となる日比谷公園の空間を現代の何気ない生活(サラリーマンの様な日常の人の生活)として描かれていて面白かった。今までに読んだことの無いトーンを書く作家だと感じた。「スターバックスの味が判るようになった女たち」など最近の小説では時代をもろに表したような固有名詞が目立つ。村上春樹「スクープトニックの恋人」でpowerbookと書かれたときは驚いた。
臓器売買は善意を加工して売る商売で、人間の外側だけが個人のもので、内側は人類の共有物、マンションは逆という話があった。マンションとそこに住む人間の構造が反転してるなんて面白い視点だ。 それにしてもこの装丁はうまい!!
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/08/27
- メディア: 単行本
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