「さヾなみ」(ASIN:B00009SF84)

modmasa2004-01-26

「さヾなみ」(http://www.vap.co.jp/sazanami/)「鉄塔武蔵野線」の長尾直樹監督作品。アートディレクターに葛西薫、音楽に岸谷香、台詞協力に芥川賞作家・保坂和志が参加。それを聞くと豪華な作品に感じるが淡々と進む映画。ハリウッド映画が主流な時代の中、日本映画らしい。東京都写真美術館で上映された作品。台詞を極限まで減らし映像と人で描かれている。一番印象に残るシーンは森の池に小雨が降り水面にさヾなみがたつシーンだった。そのワンショットがこの作品を象徴してるのではないだろうか。また夜の闇に瞬く電灯、日本ではどこでも見るこの光景は日常を映し出すものとして印象深かった。映画という特殊な世界を描く、物語として成立するものと、観覧者の日常の差をストレス無く描かれていると感じるのも、台詞、挿入のインストゥルメンタルミュージック、いくつかのショットの積み重ねが上手く調和してるからなのだろうか。ラストシーンも淡々と終わる。はじめからどこで終わってもいいぐらいの流れで終わる。物語を体験する(小説を読んだり映画を見たり)のは自分の生き方を作り上げるための演出力を養う事なのかもしれない。

「ストーリー」
娘、、夏井稲子(唯野未歩子)は、山形県米沢市で温泉の水質検査に携わっている。ある日、源泉が枯れたという温泉の調査で稲子は町でも評判の悪い男・便利屋の玉水(豊川悦司)に出会った。和歌山県太地町で、母、夏井澄江(松坂慶子)は、三十年続いたカメラ店を今もひとりで営んでいる。夫は海の向こうに渡っていってしまった。 ある日、山形の義兄(きたろう)の元に、死んだはずの夫から一通の手紙が届く。手紙がサンパウロの日本人会から夫の危篤を伝えていた。澄江はただ黙って、遠くを見つめてしまう。  奥津館では、玉水が何も言わずに、そっと稲子を抱きしめていた。恋愛に臆病だった稲子だが、意を決して、玉水のアパートを訪ねが、ドアを開けたのは玉水ではなく、子供の暁だった。稲子はまた心を閉ざしてしまう。帰省中、父と母の思い出の温泉へ澄江と出かける稲子。母と娘、それぞれの心に大切にしまっていた不器用な恋の物語。亡くなった父への母の想いの深さをあらためて感じる稲子の心の中で、何かが動き始めていく…。

またまた話は長くなってしまった。(http://www.vap.co.jp/sazanami/)で予告編を見る事が出来る。稲子の内面が描こうとされない事によって逆に伝わってくる。真実が大切なのではなくそこに存在する人と人、ただそれだけを描いている。主人公の唯野未歩子が印象が薄いだけに印象が濃い。台詞がないだけに、喜怒哀楽がそれほど多く無いだけに人が描かれていた。「ガーゴイル」と比べると180°違う作品。