「いつでも会える」

modmasa2005-10-16

「いつでも会える」菊田まりこ著の絵本
1999年度・ ボローニャ・児童賞・特別賞受賞
最初とあるFMの本紹介で全文を聞いた絵本。絵が無いだけに自分の中での想像だけで読んだ本。
絵柄も表題もありがちで癒し系の絵本って見てしまいがち、現に癒し系のほんの棚に埋もれていた,が最近の涙頂戴物、癒し系とは全く一線を画す作品。
が、この絵本は今までに感じたことの無いほどに「死」についてストレートで無駄なものは全部はぎおとした作品。愛犬シロの視点がどこまでもストレートで感激。
大人になりあまりに複雑に物事を考えたり、大人的に感じてしまっている大人にもストレートに単純に伝わってくる作品。菊田まりこさんの作品はこのほかにもあるけれど、この作品以上にストレートに感じたものは無い。他の作品には+アルファがあったり何かくどさが残る。

    • 主人公は犬のシロ。シロにはみきちゃんというとってもとっても大好きで大切な人が・・・飼い主のみきちゃんを非常に慕っているシロ。でも、みきちゃんはある日突然いなくなってしまった。その喪失感にシロは苦しむ。いないなんて信じられない。シロはみきちゃんを探し回る。そして、こころの中でいつでも会えるみきちゃんの存在に気付くのだ。

その感激をどう伝えればいいかと悩むところ、誰もが遭遇する死、祖父母の死の時に話してくれたお坊さんの話、何故故に悲しいのか、その悲しみをどうすればいいのか、人への優しさにしてくださいと言った言葉、それを聞いたときのような涙腺の緩みがある。
あのときどう死を感じ得たのだろうか?
切なく、悲しいけれども、心に強く残る作品。
誰にでも居る大切な人、家族、友人、恋人、単純にそういう人を思う気持ち。
同じ内容を伝えるドラマ、絵本、小説、映画は多々あるけど、あまりに作りすぎていて伝わってこないものが多いこと。が、この作品は素直にそれを受け止める事ができる。
絵本には出てこないが、みきちゃんは満面の笑みだという顔が頭から離れない。
さら〜と立ち読みで、本嫌いでも読める本、一度手にとって数分だけでいいので読んで見てください。

菊田まりこ 絵本作家
1970年東京都生まれ。
1998年12月「いつでも会える」「君のためにできること」学研 発表。
1999年「いつでも会える」がベストセラーとなる。
2002年9月「ハピハピバースデイ」学研 発表。岡本真夜の楽曲CDシングル「HAPPY HAPPY BIRTHDAY」付き。
2003年5月、資生堂のウェブサイトでコンテンツ「なんとなくすごしているけれど」連載開始。
     6月「だっこしておんぶして」青春出版社 発表。自らの子育てを綴るエッセイ。
2004年「僕のとなりには」学研 発表。

 http://static.flickr.com/32/95786916_4ac3b3085a_o.jpg
pictbook.jp
http://www.city.nanao.ishikawa.jp/nanabi/pages/exhibi/05exhibi/05bologna/main.html

いつでも会える (ハートフル菊田まりこの絵本)

いつでも会える (ハートフル菊田まりこの絵本)