「家族のゆくえ」

「家族のゆくえ」吉本隆明

家族のゆくえ (学芸)

家族のゆくえ (学芸)

人の一生を、【乳幼児期】、【少年少女期】、【前思春期・思春期】、【成人期】、【老年期】に分けて順に論じてる一冊。
「家庭の幸福は諸悪のもと」という太宰治の言葉から、“家庭の幸福”が「親子、夫婦、兄弟姉妹の利害をめぐる争い、いいかえれば社会的階層・階級の発生の元であり、法的にいえばあらゆる現在の血縁、交友、精神障害をめぐる凶悪犯罪の基をなしている」と説く。
「子育ての勘どころは二か所のみ」「いちばん重要な時期は胎児期をふくめた「乳幼児期」で、二番目の勘どころはこの「少年少女期」から「前思春期」に至る時期」である。第一の時期には母親ないし母親代理が心のそこからかわいがって接触すること。また、第二の時期には「生活がすべて遊び」なので思う存分遊ばせること、ここが出来ていれば大きな問題は起こさない。この大切な時期に辛いことがあっても耐えられる「壁」が築かれるのだ。昨今、深刻な少年少女事件があとをたたないがそれらはすべて両親の責任である。
全体的に読みやすく、恐ろしいほど言い切っている。正直、おいおいおい、と思う箇所もある。大丈夫なのか?と心配になるような記述も。それでも改めて示唆に富むと思われる部分がたくさんあった。凶悪犯罪増え巷で遊んでいる子供が居ない現状を考えると子供の生活空間の確保を考えてゆかなければならない様に感じる。最近遊びが少なく身体的能力が小学校中学年で幼稚園児ほどしかなく体育で野球、サッカーのゲームが出来ない地域があるという。校庭では足りなすぎる遊び空間。高度成長の小学校時代に空き地が年々減る中、代替空間として駐車場を空き地代わりに使ったりした時代が懐かしい。管理社会の現代では駐車場で遊ぶ事さえ許されない窮屈さを感じる。
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