「紙管空間クローズ」

modmasa2005-08-02

坂茂氏設計による「紙のギャラリー(1994)」『MDSギャラリー』が、敷地の契約期間が切れるため2005.12.24閉廊されてしまった。
1994年に三宅デザイン事務所の情報発信の場として建てられ、その後企画運営に三宅一生氏に、小池一子氏とこの建築の設計者である坂茂氏を加え、ギャラリー活動を展開していた。
坂茂氏は紙製の管を建築の主体構造として用いた作品「紙の教会」(1995)、「ハノーバー国際博覧会日本館」(2000)等設計。
MDS|Gは南面道路に全面ガラスのファサードを向け、5.3m×16.0mの細長い矩形平面をもつ高さ5.3mのボリューム。(紙管自体は、横力を外壁が担ってる為に垂直荷重だけを負担している。)
内部は、構造体である紙管が林立し、紙管は円弧をゆるやかに描く壁となって列柱をなす。
展示用の壁面というよりかは、その列柱は緩やかに隙間を空けて空間を仕切る。
昼間は道路側より自然光が降り注ぎ、夜になると通りにほのかな行灯として浮き上がる。
紙管の持つ独特な紙の質感に反射した光がまた綺麗だ。
紙管のシリーズは有機的な素材のため、仮設作品がほとんどであった。
そんな中でMDSギャラリーは、恒久性な建築物として常に見ることが出来る建物であった。
最後の展示「災害支援と学生参加の建築」は国連活動として行われてきた災害用の紙管建築なども展示されていて実際にそのスケールを体感できた。

「紙の建築」を発想したきっかけは、単に物を捨てるのは「もったいない」という気持ちからです。開発を始めた1986年頃は、今のように環境問題やエコロジーの問題は騒がれてはいませんでした。ですからエコロジーの問題など特別に意識しなくても、ハイテクな技術に頼らず、弱い材料を弱いなりに、身の回りの物を新しい視点にたって利用することで、環境に負荷のかからない美しくて強い物を作ることはできるのです。また、著者は単純に自分の今までやってきたことを、何か社会のために役立てたいという気持ちからボランティア活動を続けてきましたが、これからの21世紀、我々日本人はもっと世界に出て国際貢献という役割を担っていかなければならないでしょう。そんな事を考えながらこの本を書きました。
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AQUOS「坂茂」篇
東京アートフィールド−5「MDS|G」


SHIGERU BAN

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