「白夜行」

modmasa2005-10-07

1999年当時ベストセラーとして話題だった「白夜行
東野圭吾は「秘密」他映画になった作品も多いミステリー作家だが、それとは異質の感をこの単行本を平積みに見たときに感じた。
それは恐らくこの書籍の厚さ(文庫版では854ページにもなる)とこの黄色い表紙だ。
どこかの古びた街角の路地写真。
娯楽小説ではなく人間の感情の奥深くを描いた作品にそのとき思えた。
2006年一月からのTBSドラマをきっかけに読破。無性にこれを読みたいという状況での読破。
1400枚を越える長編大作で、全編に網の目のように絡み合った物語。
殺人事件を起こす小学生。中学校、高等学校、大学、社会人時代と話は進んでいき、その都度新しい人物とその時々の彼らの生活、一見関係のなくオムニバスのような感じを受ける。しかし、読み終えて振り返ってみると、それぞれの出来事の中に、雪穂と亮二の19年にも及ぶ心模様が見えてくる。
救いようの無い悲しいお話であるがアングラ的と言うよりかはどこか日常的なそんな物語。
読んだ後に決して「楽しかった!」の娯楽作品では無い人が多いと思うが人間って今の時代のような表層的なものではないことに気づかせてくれる。

白夜行東野圭吾著 (1999/08)
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
http://members.at.infoseek.co.jp/x5_542/myst/f_index.htm
http://homepage2.nifty.com/takatti/
s-woman.net - 
http://www.tbs.co.jp/byakuyakou/

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)